店舗物件を契約する前に確認したい許認可|用途地域・建築・消防・営業許可のチェックポイント

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気になる店舗物件が見つかっても、「店舗として借りられる物件だから、予定している営業もできる」とは限りません。

店舗の開業には、業種ごとの営業許可だけでなく、用途地域や建築上の用途、消防関係の基準・届出などが関係することがあります。営業内容によっては、物件の所在地そのものが許可の可否に影響する場合もあります。

契約や内装工事を進めてから問題が分かると、計画変更や追加工事が必要になる可能性があります。まずは、店舗物件を契約する前に確認しておきたいポイントを順番に整理しておきましょう。

目次

店舗物件は「借りられる=予定する営業ができる」とは限らない

店舗を借りるときは、賃貸借契約上その業種で使用できるかどうかだけでなく、予定している営業が行政上の基準を満たせるかも別に確認する必要があります。

主な確認事項は、次のように分かれます。

  • 用途地域上、その用途の店舗を設けられるか
  • 現在の建物用途と予定する使い方に問題がないか
  • 営業に許可・届出が必要か
  • 許可に必要な施設・設備基準を満たせるか
  • 消防関係の設備や届出に問題がないか
  • 営業場所について制限がある業種ではないか
  • 貸主や管理規約上、その営業や工事が認められているか

すべての店舗に同じ手続が必要になるわけではありません。まず予定する営業内容を整理し、関係する制度を切り分けて確認することが重要です。

契約前にまず「何を・どのように営業するか」を整理する

同じ店舗でも営業内容によって必要な許認可は変わる

必要な許認可を確認するには、単に「飲食店」「物販店」といった業種だけでなく、実際に何をする予定なのかを整理しておく必要があります。

たとえば飲食店なら、店内で食品を調理して提供するのか、テイクアウトを行うのか、酒類を提供するのか、深夜まで営業するのかなどによって、確認する制度が変わることがあります。

飲食店を例に、開業時に関係する主な手続はこちらで整理しています。

関連記事:飲食店を開業するときに必要になる主な手続

物件を探す段階でも、予定する営業内容をある程度具体化しておくと、契約前に確認すべき窓口や基準を絞りやすくなります。

用途地域と建築上の用途を確認する

用途地域によって建物の用途に制限がある

土地には用途地域が定められており、地域によって建築できる建物の用途に制限があります。

店舗であればどこでも同じように営業できるわけではなく、店舗の種類や規模などによって制限を受ける場合があります。

物件の用途地域を確認しただけでは、予定している使い方が建築基準法上可能かまで判断できないこともあります。不明な場合は、区の建築担当窓口などで確認します。

関連記事:店舗物件の用途地域|予定している営業ができるか確認する方法(近日公開予定)

世田谷区・杉並区の用途地域を調べる方法

世田谷区では、世田谷区「せたがやiMap(世田谷区電子地図情報配信サービス)」で用途地域、建ぺい率、容積率などの都市計画情報を確認できます。

杉並区では、杉並区「都市計画の確認」から「すぎナビ」を利用して用途地域などを確認できます。

地図上の情報だけで判断できない場合や、建築基準法上の判断が必要な場合は、区の担当窓口へ確認します。

現在の建物用途と予定する使い方が違う場合も確認する

既存の建物やテナントを別の用途で使う場合には、「用途変更」に該当するかどうかも確認が必要です。

用途変更では、建築確認申請が必要になる場合と不要な場合がありますが、確認申請が不要であれば建築基準法上の確認が一切不要になるわけではありません。

具体的な判断は建物の現在の用途、変更後の用途、面積などによって変わるため、別記事で詳しく整理します。

関連記事:店舗の用途変更とは?確認申請が必要になる場合と200㎡の基準(近日公開予定)

業種ごとの営業許可・施設基準を確認する

店舗の開業では、「その業種に許可が必要か」だけでなく、「その物件で許可基準を満たせるか」という確認も重要です。

たとえば飲食店営業許可では、施設・設備について基準があります。世田谷区と杉並区はいずれも、工事着工前に設計図などを持参して保健所へ事前相談するよう案内しています。

物件を契約して内装工事を進めた後に施設基準を満たせないことが分かると、設計変更や追加工事が必要になる可能性があります。

関連記事:飲食店営業許可の施設基準|店舗契約・工事前に確認したい設備
関連記事:飲食店営業許可の申請方法【世田谷区】
関連記事:飲食店営業許可の申請方法【杉並区】

消防署への確認が必要になる場合がある

テナントへの入居や改装では消防関係の届出がある

東京都内で店舗などのテナントを新たに使用する場合、東京消防庁への届出が必要になります。

建物や建物の一部を新たに使用するときは、原則として使用開始日の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を管轄消防署へ提出します。

また、店舗の修繕、模様替え、間仕切り変更などを行う場合には、「防火対象物工事等計画届出書」が必要になる場合があり、対象となる工事では原則として着手日の7日前までに届け出ます。

内装工事を始める前に消防設備への影響も確認する

間仕切りなどを変更すると、自動火災報知設備や誘導灯など、既存の消防用設備の増設・移設が必要になる場合があります。

必要な対応は店舗の用途や建物の規模、既存設備などによって異なります。消防関係について判断できない場合は、内装工事の内容が固まった段階で管轄消防署へ確認しておくとよいでしょう。

関連記事:店舗を借りる前に消防署へ相談するべき?テナント入居時の確認ポイント(近日公開予定)

営業内容によっては「場所」が許可に影響する

店舗内部の設備や構造を整えるだけでは解決できない規制もあります。

たとえば風俗営業では、営業所の構造・設備だけでなく、営業所が東京都の条例で定める地域内にある場合も許可を受けることができません。

このように営業内容によっては、物件の所在地そのものが許認可に影響します。該当する可能性がある業種では、物件を決める段階から立地条件を確認する必要があります。

関連記事:深夜営業・風俗営業を予定している店舗の物件選び|立地制限を契約前に確認(近日公開予定)

居抜き物件でも前の店の許認可をそのまま前提にしない

居抜き物件は厨房や内装、設備などが残っているため、新規のスケルトン物件より開業準備を進めやすい場合があります。

ただし、前の店舗が営業できていたからといって、自分も同じ許認可でそのまま営業を始められるとは限りません。

たとえば飲食店営業許可は営業者が変われば、新たな許可申請が必要になるのが原則です。また、営業内容や設備を変更する場合には、現在の基準を満たせるかも確認する必要があります。

関連記事:居抜き飲食店でも営業許可は取り直しが必要?
関連記事:居抜き物件なら許認可もそのまま使える?契約前に確認したいポイント(近日公開予定)

賃貸借契約や貸主側の条件も別に確認する

行政上その場所で営業できる場合でも、賃貸借契約や建物の管理上、その営業や工事が認められているとは限りません。

予定する業種での営業が認められているか、内装工事や設備工事が可能か、看板を設置できるかなどは、貸主や管理会社にも確認しておきます。

特に看板は、設置場所や大きさなどによって屋外広告物のルールが関係するだけでなく、建物側の設置条件も確認しておく必要があります。

関連記事:店舗契約前に看板について確認しておきたいこと|借りてから困らないためのチェックポイント

店舗契約前に確認する順番

物件ごとに必要な確認は異なりますが、迷ったときは次の順番で整理すると確認漏れを減らしやすくなります。

  1. 予定する営業内容を具体的にする
  2. 必要になる許可・届出を確認する
  3. 物件所在地の用途地域や立地条件を確認する
  4. 建物の現在用途と予定する使い方を確認する
  5. 業種別の施設・設備基準を確認する
  6. 消防関係の設備・届出を確認する
  7. 貸主・管理会社に営業内容や工事条件を確認する
  8. 判断できない事項を所管窓口へ相談する
  9. 必要な確認をしたうえで契約・設計・工事へ進む

すべての物件について、契約前にすべての行政手続を終えるという意味ではありません。

重要なのは、契約後に変更しにくい「場所」「建物」「設備」に関係する条件について、後から問題になりそうな点がないかを先に確認しておくことです。

世田谷区・杉並区で相談先が分からないとき

確認したい内容によって相談先は異なります。

用途地域や建築基準法上の問題は区の都市計画・建築関係窓口、飲食店など食品関係の営業許可は保健所、消防関係は建物所在地を管轄する消防署が主な相談先です。

風俗営業など警察が所管する許認可については、営業所所在地を管轄する警察署などへ確認します。

どこへ相談すべき問題なのか分からない場合は、まず「何を確認したいのか」を整理すると所管を切り分けやすくなります。

関連記事:店舗開業はどこに事前相談する?保健所・消防署・警察・建築窓口の違い(近日公開予定)

許認可は、物件を借りた後に申請書を提出すれば必ず解決するものではありません。所在地や建物の用途、施設基準、消防設備などが関係するため、判断できない事項は契約や大きな工事に進む前に所管窓口へ確認しておくことが重要です。


対象地域
東京都世田谷区・杉並区を中心に解説しています。

情報確認日
2026年9月4日

主な確認資料

制度や手続、窓口の取扱いは変更されることがあります。実際に物件を契約したり開業準備を進めたりする際は、最新情報を各行政機関・所管窓口で確認してください。

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