店舗物件を探していると、物件情報に「第一種住居地域」「近隣商業地域」などの用途地域が記載されていることがあります。
用途地域は、その地域にどのような用途の建物を建てられるかを定める仕組みです。店舗についても、種類や規模などによって建築できる用途地域が異なります。
ただし、用途地域を確認しただけで「この物件なら予定する営業ができる」と判断できるわけではありません。店舗契約前は、用途地域を入口として、地区ごとのルールや現在の建物用途なども分けて確認します。
用途地域を確認すると何が分かる?
用途地域は、住居・商業・工業などの土地利用を適切に配置するため、建築物の用途や規模などに一定の制限を設ける制度です。
用途地域は13種類あり、それぞれ建築できる建物の用途が異なります。
店舗についても一律ではありません。用途地域によって、店舗の種類、店舗部分の床面積、使用できる階などに条件が設けられている場合があります。
東京都が公開している用途制限の概要も、建築基準法別表第二をもとに、店舗等について用途地域ごとの制限を整理しています。
東京都都市整備局「用途地域等に関する指定方針及び指定基準について」
用途地域で確認するのは、主に「その建物を予定する用途で使用できるか」という建築上の問題です。営業許可など、業種ごとに必要となる許認可とは別に確認する必要があります。
関連記事:店舗物件を契約する前に確認したい許認可|用途地域・建築・消防・営業許可のチェックポイント
店舗ならどの用途地域でも営業できるわけではない
店舗の種類によって扱いが違う
用途地域上の「店舗」は、すべて同じ条件で扱われるわけではありません。
たとえば日用品を販売する店舗、飲食店、理髪店などでは、用途地域によって建築できる範囲が異なる場合があります。
そのため、
「店舗だから大丈夫」
「住宅地だから店舗はすべてダメ」
といった判断はできません。
予定する店舗が建築基準法上どの用途として扱われるのかを確認したうえで、その用途地域で認められているかを見る必要があります。
店舗の床面積などによっても制限が変わる
同じ種類の店舗でも、店舗部分の床面積や使用する階によって扱いが変わることがあります。
杉並区の用途地域の案内でも、たとえば第二種低層住居専用地域では一定の日用品販売店舗など、第一種中高層住居専用地域では一定規模までの店舗など、用途地域ごとに異なる条件が示されています。
物件の用途地域名だけを確認するのではなく、予定する店舗の用途・規模まで含めて確認することが必要です。
世田谷区で店舗物件の用途地域を調べる方法
せたがやiMapで用途地域を確認する
世田谷区の用途地域は、「せたがやiMap」で確認できます。
せたがやiMapでは、用途地域のほか、建ぺい率、容積率などの都市計画情報も確認できます。
世田谷区「都市計画情報のインターネット提供サービスについて(せたがやiMap)」
検討している店舗物件の所在地を確認し、まずはその地点に指定されている用途地域を調べます。
用途地域を調べただけで判断できない場合は窓口へ確認する
せたがやiMapで用途地域を調べることと、予定する店舗用途が建築基準法上可能かを判断することは別です。
世田谷区は、せたがやiMapなどで調べても分からない事項や、建築基準法上の判断が必要な相談について、担当部署への相談を案内しています。
予定する店舗の種類や規模を伝えられるようにしておくと、確認する内容を整理しやすくなります。
杉並区で店舗物件の用途地域を調べる方法
すぎナビで用途地域を確認する
杉並区では、「すぎナビ」で用途地域などの都市計画情報を確認できます。
住所などから場所を表示し、「都市計画」を選択して地点を指定すると、その場所の用途地域などを確認できます。
調査地点の都市計画情報と地図を印刷することもできます。
分からない場合は区の窓口で確認する
杉並区は、都市計画情報について不明な点がある場合、都市整備部管理課の窓口で確認できることを案内しています。
一方、具体的な建築計画について建築基準法上の判断が必要になる場合は、都市計画情報の確認とは別に、建築関係の担当窓口への確認が必要になることがあります。
用途地域の名称を調べたところで確認を終えず、予定する店舗用途について判断できない場合は区の担当部署へ確認します。
用途地域を確認しただけでは営業できると判断できない
地区計画など別のルールが定められている場合がある
店舗物件を確認するときは、用途地域だけでなく、その場所に地区計画などが定められていないかも確認します。
地区計画等では、地域の特性に応じて建築物に関する追加のルールが設けられている場合があります。
世田谷区では、用途地域等とは別に、地区ごとの街づくりについて地区計画や地区街づくり計画などを定めています。
杉並区にも地区計画・沿道地区計画があり、対象区域では建築物等に関する制限がかかる場合があります。
用途地域上は店舗として利用できそうな場合でも、その場所に別の制限がないか確認しておく必要があります。
現在の建物用途と予定する使い方が違う場合は用途変更も確認する
用途地域上、その種類の店舗を設けられる地域であっても、それだけで既存の建物をそのまま予定用途に使用できるとは限りません。
たとえば、現在の建物用途と新しく予定する用途が異なる場合には、建築基準法上の「用途変更」について確認が必要になることがあります。
用途変更に該当するか、確認申請が必要になるかは別の問題なので、用途地域とは切り分けて確認します。
関連記事:店舗の用途変更とは?確認申請が必要になる場合と200㎡の基準(近日公開予定)
店舗物件を契約する前の用途地域の確認手順
用途地域について迷ったときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 検討している物件の正確な所在地を確認する
- 世田谷区なら「せたがやiMap」、杉並区なら「すぎナビ」で用途地域を調べる
- 予定する店舗がどのような建築用途として扱われるか確認する
- 店舗の種類・床面積・使用する階などを踏まえて用途制限を確認する
- 地区計画など、その場所に追加のルールがないか確認する
- 現在の建物用途と予定用途が異なる場合は用途変更について確認する
- 自分で判断できない事項は区の建築関係窓口などへ確認する
用途地域の地図は、自分で調査するための入口として便利ですが、地図に表示された用途地域名だけで個別物件の営業可否を確定するものではありません。
特に契約後に変更できない立地条件については、疑問を残したまま契約を進めないことが重要です。
「飲食店可」の物件でも用途地域以外の確認は必要
物件情報に「飲食店可」と記載されていても、予定している飲食店について必要な行政上の条件がすべて確認済みとは限りません。
用途地域や建築上の問題とは別に、飲食店営業許可の施設基準や消防関係なども確認する必要があります。
特に厨房や手洗設備などは営業許可の施設基準に関係するため、店舗契約や内装工事を進める前に確認しておくと、後から設備変更が必要になるリスクを減らせます。
関連記事:飲食店営業許可の施設基準|店舗契約・工事前に確認したい設備
用途地域は、「この場所で予定する用途の店舗を設けられるか」を確認するための重要な入口です。ただし、用途地域だけですべての営業条件が決まるわけではありません。
用途地域、地区ごとのルール、既存建物の用途、業種別の許認可を分けて確認し、判断できない点は契約前に所管窓口へ確認しておきましょう。
対象地域
東京都世田谷区・杉並区を中心に解説しています。
情報確認日
2026年9月4日
主な確認資料
- 東京都都市整備局「用途地域等に関する指定方針及び指定基準について」
- 世田谷区「都市計画情報のインターネット提供サービスについて(せたがやiMap)」
- 世田谷区「建築審査課への相談」
- 世田谷区「街づくりで定めるルールや計画について」
- 杉並区「都市計画の確認」
- 杉並区「地域地区(用途地域等)の概要」
- 杉並区「地区計画、沿道地区計画」
制度や都市計画の内容は変更されることがあります。また、用途地域だけで個別の建物が予定用途に使用できるかを判断できない場合があります。実際に物件を契約する際は、最新の都市計画情報を確認し、必要に応じて所管窓口へ相談してください。
