飲食店を開業するときは、店舗に「食品衛生責任者」を置く必要があります。
名前だけを見ると、特別な国家資格を持つ人を雇わなければならないようにも思えますが、調理師など一定の資格を持っている人のほか、食品衛生責任者養成講習会を修了した人も食品衛生責任者になることができます。
世田谷区・杉並区では、飲食店営業許可の申請時に食品衛生責任者の資格を証明する書類が必要です。開店直前になって準備するのではなく、営業許可申請までに誰を食品衛生責任者にするのか決めておきましょう。
食品衛生責任者とは?
食品衛生責任者は、営業施設の衛生管理を担う人です。
食品衛生法施行規則では、営業者が食品衛生責任者を定めることが求められており、食品衛生責任者には、営業者の指示に従って施設の衛生管理を行うことなどが定められています。
世田谷区は、衛生的な管理運営をするため、施設ごとに食品衛生責任者を置かなければならないと案内しています。
杉並区も、食品を取り扱う店や施設には1名以上の食品衛生責任者を置く必要があるとしています。
飲食店を開業する場合、「営業許可だけ取ればよい」のではなく、その店舗の食品衛生責任者も決めておく必要があります。
食品衛生責任者はいつまでに必要?
世田谷区・杉並区で新しく飲食店営業許可を申請する場合は、少なくとも営業許可申請までに準備しておくのが基本です。
世田谷区では、営業許可申請時の必要書類として「食品衛生責任者の資格を証明するもの」が案内されています。
杉並区でも、個人・法人ともに、営業許可申請時に食品衛生責任者の資格を証明する書類が必要です。
そのため、
「開店日までに講習を受ければよい」
と考えて後回しにするのではなく、営業許可を申請する時点から逆算して資格を準備する方が安全です。
世田谷区は、施設・設備完成予定日の10~14日前を目安に営業許可を申請するよう案内しています。食品衛生責任者の資格者がいない場合についても、早めに準備しておきましょう。
関連記事:飲食店営業許可の申請方法【世田谷区】
関連記事:飲食店営業許可の申請方法【杉並区】
調理師免許がなくても食品衛生責任者になれる
飲食店を開くために、必ず調理師免許を取らなければならないわけではありません。
食品衛生責任者になれる人には、たとえば、
- 調理師
- 製菓衛生師
- 栄養士・管理栄養士
- 食鳥処理衛生管理者
- 船舶料理士
- 食品衛生管理者や食品衛生監視員の資格要件を満たす人
などが含まれます。
これらの資格を持つ人がいない場合でも、都道府県知事等が行う、または適正と認める食品衛生責任者養成講習会を修了すれば、食品衛生責任者になることができます。
つまり、飲食店開業のためだけに調理師免許を取得する必要はありません。
資格がなければ食品衛生責任者養成講習会を受講する
東京都では、東京都知事の指定を受けた一般社団法人東京都食品衛生協会が食品衛生責任者養成講習会を実施しています。
講習会には、会場で受講する方法とeラーニングで受講する方法があります。
会場集合型の講習会
会場集合型の養成講習会は、1日の講習です。
2026年9月時点では、
- 食品衛生学 2時間30分
- 公衆衛生学 30分
- 食品衛生法 3時間
の合計6時間で、テストを含め午前9時45分から午後4時30分まで実施されています。
受講料は教材費を含め12,000円(税込)です。
講習を修了すると、当日に受講修了証が交付されます。
eラーニングでも取得できる
東京都食品衛生協会では、eラーニング型の養成講習会も実施しています。
標準学習時間は合計約6時間で、新規ログインID・パスワードの登録日から30日間が受講可能期間です。
受講料は会場集合型と同じく12,000円(税込)で、修了後、受講基準を満たした人には受講修了証が郵送されます。
ただし、eラーニングには受講要件があります。
東京都食品衛生協会では、東京都内の食品関連施設に勤務している人、または食品関連施設に勤務していない東京都内在住者であることなどを要件としています。
受講を申し込む際は、対象者や本人確認方法を含め、最新の受講要件を確認してください。
食品衛生責任者は店のオーナー本人でなくてもよい
食品衛生責任者は、「店を経営する人が必ず取得しなければならない資格」というわけではありません。
資格要件を満たし、実際に店舗の衛生管理を担える人を食品衛生責任者として定めます。
したがって、オーナー本人が食品衛生責任者になることもできますし、要件を満たす従業員を食品衛生責任者にすることもできます。
ただし、名前だけ借りればよいという制度ではありません。
食品衛生責任者には、営業者の指示に従って衛生管理を行い、必要に応じて営業者へ意見を述べる役割があります。
食品衛生責任者は何をする?
食品衛生責任者の役割は、資格を持って店に名前を掲げることだけではありません。
食品衛生法施行規則では、食品衛生責任者について、
- 営業者の指示に従って衛生管理に当たる
- 衛生管理上必要な注意を行う
- 営業者に必要な意見を述べるよう努める
- 定期的に講習を受講し、新しい食品衛生の知識を得るよう努める
ことなどが定められています。
現在は原則として食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められているため、食品衛生責任者は店舗の日常的な衛生管理にも関わる立場になります。
「食品衛生管理者」とは別の制度
名前が似ていますが、食品衛生責任者と食品衛生管理者は別の制度です。
食品衛生管理者は、食品衛生法で定められた特定の食品や添加物を製造・加工する施設について設置が求められる資格です。
一般的な飲食店を開業するときに通常問題になるのは「食品衛生責任者」の方です。
「食品衛生管理者の資格を取らなければ飲食店を開けない」と混同しないようにしましょう。
食品衛生責任者が変わったら届出も確認する
開業後に食品衛生責任者が退職するなどして別の人へ変更する場合は、そのままにせず変更手続を確認する必要があります。
杉並区では、食品衛生責任者を変更した場合に届出が必要と案内しており、新しい食品衛生責任者の資格を証明する書類などを提出します。
開業時だけ資格者を確保すれば終わりではなく、営業を続ける間も食品衛生責任者を置いた状態を維持する必要があります。
営業許可の準備と一緒に食品衛生責任者を決めておく
食品衛生責任者は、飲食店を開業する直前になって初めて考えるものではありません。
世田谷区・杉並区では営業許可申請時に資格を証明する書類が必要なので、
誰を食品衛生責任者にするか
→ その人がすでに資格要件を満たしているか
→ 満たしていなければ養成講習会を受講する
という順で、営業許可の準備と並行して進めておくとスムーズです。
特に講習会を受けて資格を取得する予定なら、営業許可申請の直前ではなく、余裕を持って申し込んでおきましょう。
対象地域
世田谷区・杉並区
情報確認日
2026年9月3日
主な確認資料
- 厚生労働省「食品衛生法施行規則」
- 世田谷区「食品関係営業施設の営業許可申請」
- 杉並区「飲食店などのお店を開業するには」
- 杉並区「食品衛生責任者資格」
- 一般社団法人東京都食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会」
- 一般社団法人東京都食品衛生協会「eラーニング型養成講習会」
※制度、講習内容、受講料、受講要件等は変更される場合があります。実際に営業許可を申請したり講習会を申し込んだりする際は、所管の保健所・講習実施機関の最新情報をご確認ください。
