店舗開業はどこに事前相談する?保健所・消防署・警察署・建築窓口の違い

店舗開業の事前相談先 のアイキャッチ

店舗を開業するとき、「まずは保健所に相談かな?」「消防署や区役所にも行く必要があるの?」と、相談先に迷うことがあります。

店舗開業に関係する行政手続は、1つの窓口がまとめて判断する仕組みではありません。
営業許可、消防、用途地域・建築、警察が所管する許可・届出など、それぞれ確認する窓口が分かれています。

そのため、最初に「何を確認したいのか」を整理し、必要な窓口へ並行して相談するのが基本です。

ここでは、店舗物件や許認可、営業開始に関係する主な事前相談先を整理します。

目次

店舗開業の相談先は1か所ではない

店舗開業では、営業内容や物件によって複数の制度が関係します。
主な相談先は次のとおりです。

確認したいこと主な相談先
飲食店などの営業許可・施設基準保健所
テナント入居・消防設備・消防関係の届出消防署
用途地域などの都市計画区の都市計画関係窓口
用途変更・建築確認など区の建築関係窓口、指定確認検査機関等
風俗営業・深夜酒類提供飲食店営業など警視庁・管轄警察署等
必要な許認可の調査・申請手続をまとめて依頼したい行政書士
店舗看板・屋外広告物区等の屋外広告物担当

たとえば、保健所で飲食店営業許可の施設基準について確認できても、それだけで建築基準法や消防法令上の問題まで確認できたことにはなりません。

反対に、消防署で消防設備について確認しても、飲食店営業許可の施設基準を満たすかどうかは別の確認です。

「店舗として営業できるか」を一つの問題として考えるのではなく、関係する制度ごとに切り分けます。

関連記事:店舗物件を契約する前に確認したい許認可|用途地域・建築・消防・営業許可のチェックポイント

保健所|飲食店などの営業許可・施設基準を確認する

どの営業許可・届出が必要か確認する

飲食店や食品の製造・販売など、食品を取り扱う営業では、営業内容によって食品衛生法上の営業許可や届出が必要になります。

予定している営業がどの許可・届出に当たるのか分からない場合は、保健所の食品衛生担当へ確認します。

世田谷区では、食品を取り扱う営業を始める場合、事前に世田谷保健所へ相談するよう案内しています。

杉並区でも、営業形態や取り扱う食品によって必要な営業許可・届出が異なるため、杉並保健所への事前相談を案内しています。

関連記事:飲食店を開業するときに必要になる主な手続

店舗工事前に施設基準を相談する

飲食店など営業許可が必要な業種では、許可を取得するための施設・設備基準があります。

世田谷区は、施設工事の着工前に設計図等を持参して保健所へ相談するよう案内しています。
杉並区も、営業場所、営業形態、取り扱う食品、大まかな店舗配置などが決まった段階で、工事着工前に設計図等を持参して相談するよう案内しています。

厨房や手洗設備などを設置してから施設基準を満たしていないことが分かると、追加工事や設計変更が必要になる可能性があります。

関連記事:飲食店営業許可の施設基準|店舗契約・工事前に確認したい設備
関連記事:飲食店営業許可の申請方法【世田谷区】
関連記事:飲食店営業許可の申請方法【杉並区】

ただし、保健所で食品衛生上の確認をしたことによって、用途地域、用途変更、建築確認、消防関係まで確認済みになるわけではありません。
それぞれの所管へ別に確認します。

消防署|テナント入居・消防設備・内装工事を確認する

テナント入居時の消防設備を確認する

店舗などのテナントへ入居するときは、建物や店舗の用途、既存の消防用設備、店舗の内装などによって消防関係の対応が変わることがあります。

東京消防庁では、消防用設備等を設置・変更するときや、建物へのテナント入居に伴う手続について、消防署で事前相談を受け付けています。

間仕切りや厨房設備などを変更すると、既存の消防用設備について増設・移設などが必要になる場合もあります。

消防上の条件が内装計画や工事費に影響しそうな場合は、工事を始める直前ではなく、計画段階から確認しておくことが重要です。

関連記事:店舗を借りる前に消防署へ相談した方がいい?テナント入居・内装工事の確認ポイント

内装工事・使用開始の届出を確認する

テナントの修繕、模様替え、間仕切り変更などを行う場合には、「防火対象物工事等計画届出書」が必要になる場合があります。

また、建物や建物の一部を新たに店舗などとして使用するときは、「防火対象物使用開始届出書」の確認が必要です。

どの届出や消防設備が必要になるかは、建物の用途・規模、店舗の用途、工事内容などによって異なります。

物件所在地を管轄する消防署へ確認します。

都市計画・建築関係窓口|用途地域・用途変更・建築基準法を確認する

用途地域は区の都市計画情報から確認する

店舗物件では、その場所の用途地域によって建築物の用途に制限があります。

世田谷区では「せたがやiMap」で用途地域などの都市計画情報を確認できます。

世田谷区「都市計画情報のインターネット提供サービスについて(せたがやiMap)」

杉並区では「すぎナビ」で用途地域などを確認できます。不明な点については、区の都市計画関係窓口でも確認できます。

杉並区「都市計画の確認」

しかし、用途地域の名称が分かっただけで、個別の物件を予定する用途で使用できるかまで判断できるとは限りません。
建築基準法上の判断が必要な場合は、建築関係の窓口等へ確認します。

関連記事:店舗物件の用途地域|予定する営業ができるか確認する方法【世田谷・杉並】

用途変更・建築確認は別に確認する

既存の建物を、それまでとは異なる用途で使用するときは、建築基準法上の用途変更について確認が必要になる場合があります。

また、予定する工事によって建築確認が必要になる場合もあります。

世田谷区では、建築基準法上の判断が必要な相談について担当係への相談を案内しています。
一方、指定確認検査機関へ建築確認を提出する物件については、原則として提出先となる指定確認検査機関へ確認するよう案内しています。

世田谷区「建築審査課への相談」

杉並区でも、建築確認など各種申請・報告について、余裕を持った事前相談を案内しています。

杉並区「建築確認申請」

建築関係については、確認したい内容に応じて区の担当部署、建築士、指定確認検査機関などへ確認します。

関連記事:店舗の用途変更とは?確認申請が必要になる場合と200㎡の基準

警察署|警察が所管する許可・届出がある営業を確認する

すべての店舗が警察署へ営業許可を申請するわけではありません。
予定する営業内容が警察・公安委員会の所管する許可や届出の対象になる場合に確認します。

たとえば、警視庁では次のような営業について手続を案内しています。

  • 風俗営業
  • 特定遊興飲食店営業
  • 深夜における酒類提供飲食店営業
  • 性風俗関連特殊営業

警視庁「風俗営業」

深夜に酒類を提供する飲食店についても、一定の営業について営業開始の届出制度があります。

警視庁「性風俗関連特殊営業、深夜における酒類提供飲食店営業の届出」

飲食店だから一律に警察署への届出が必要になるわけではありません。

営業する時間、酒類の提供方法、接待や遊興の有無などによって関係する制度が変わるため、自分の営業形態が対象になる可能性がある場合は、警視庁の案内や管轄警察署等へ確認します。

また、風俗営業などでは営業場所に関する制限があるため、該当する可能性がある店舗は物件を契約する前の確認が特に重要です。

関連記事:深夜営業・風俗営業を予定している店舗の物件選び|立地制限を契約前に確認(近日公開予定)

行政書士|結局どの許認可が必要なのかよく分からないとき

店舗を開業するときは、営業内容によって複数の許認可や届出が関係することがあります。
「自分の場合、結局どの手続が必要なのか分からない」という場合は、行政書士へ依頼する方法もあります。

行政書士に依頼すれば、予定している営業内容や物件の状況などをもとに、必要になる許認可・届出を調査し、対応する申請書類の作成や提出まで依頼できます。
依頼者自身が、あらかじめ必要な許認可をすべて特定しておく必要はありません。

ただし、行政書士はそれぞれ取り扱っている業務が異なります。店舗開業に関する依頼先を探すときは、たとえば次のような業務を取り扱っている行政書士か確認するとよいでしょう。

  • 飲食店を開業するなら「飲食店営業許可」「飲食店開業」など
  • 深夜営業や接待を伴う営業を予定しているなら「風俗営業許可」「深夜酒類提供飲食店営業」など
  • まだ必要な手続を絞り込めていないなら「店舗開業」「開業時の各種許認可」など

ホームページなどで、自分が予定している業種に近い許認可を取扱業務として掲げているか確認しておくと、依頼先を選びやすくなります。

許認可によっては、店舗の所在地や設備、営業時間などが要件に関係します。
物件契約や内装工事を進めてから対応が難しいことが分かる場合もあるため、行政書士へ依頼する予定があるときは、物件や営業計画を固める段階から対応してもらえるかも確認しておくとよいでしょう。

看板を出す場合は屋外広告物の確認も別に必要

店舗を営業できる物件であっても、看板を自由に設置できるとは限りません。
屋外に表示する看板は、東京都の屋外広告物制度や地域のルールの対象になることがあります。

また、行政上設置できる看板でも、賃貸借契約や建物の管理上、貸主・管理会社の承諾が必要になる場合があります。

店舗契約時には、営業そのものの許認可とは別に看板についても確認しておきます。

関連記事:店舗契約前に看板について確認しておきたいこと|借りてから困らないためのチェックポイント

どこに相談すればいいか分からないときの整理方法

相談先に迷ったときは、「店舗開業について相談したい」と大きく考えるのではなく、疑問を一つずつ分けます。

疑問相談先の目安
この飲食店には営業許可が必要?保健所
この厨房・手洗設備で施設基準を満たせる?保健所
この店舗に消防設備を追加する必要がある?消防署
間仕切り工事で消防関係の届出が必要?消防署
この場所の用途地域は?区の都市計画関係窓口
この用途の店舗として建物を使える?建築関係窓口等
用途変更や建築確認が必要?建築関係窓口・指定確認検査機関等
風俗営業等の許可対象になる?警視庁・管轄警察署等
深夜の酒類提供について届出が必要?警視庁・管轄警察署等
必要な許認可が分からず、調査から申請まで依頼したい店舗開業・該当業種の許認可を扱う行政書士
店舗看板に許可が必要?屋外広告物担当

相談するときは、「どんな店を開きたいか」だけでなく、できるだけ具体的な情報を用意しておきます。

たとえば、

  • 物件の所在地
  • 予定する営業内容
  • 営業時間
  • 店舗の床面積
  • 建物や店舗の図面
  • 現在の建物用途
  • 予定する内装・設備工事

などが分かると、相談内容を整理しやすくなります。

店舗契約前の相談は必要な窓口へ並行して進める

店舗開業では、「最初に保健所へ行き、終わったら消防署へ行く」という決まった順番があるわけではありません。

予定する営業内容と物件を整理し、関係する制度について必要な窓口へ並行して確認します。

特に物件契約前は、

  1. 予定する営業内容を具体化する
  2. 必要な営業許可・届出を確認する
  3. 用途地域や建物用途を確認する
  4. 業種ごとの施設基準を確認する
  5. 消防設備や内装計画を確認する
  6. 警察所管の許可・届出が関係する場合は立地・営業条件を確認する
  7. 必要な許認可の調査・申請をまとめて任せたい場合は、取扱業務の合う行政書士への依頼を検討する
  8. 看板など店舗外部の条件も確認する

という形で整理すると確認漏れを減らしやすくなります。

「保健所で問題ないと言われたから、この物件なら開業できる」と一つの窓口だけで判断せず、それぞれの制度を分けて確認することが重要です。

物件や営業内容によって必要な相談先は変わります。
自分で確認を進める場合は問題を切り分けてそれぞれの所管窓口へ確認し、許認可の調査や申請手続をまとめて依頼したい場合は、予定する業種を取り扱う行政書士を探す方法もあります。


対象地域
東京都世田谷区・杉並区を中心に解説しています。

情報確認日
2026年9月4日

主な確認資料

制度や相談窓口、必要な許可・届出は、営業内容や物件の状況によって異なります。実際に店舗を契約・開業する際は、最新情報を各行政機関で確認し、必要に応じて許認可手続を取り扱う行政書士等へ依頼してください。

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