東京都でこれから創業するなら、「創業助成事業」という名前を見かけることがあると思います。
家賃や広告費、器具・備品、人件費など、創業初期にかかる幅広い経費が対象になり、助成限度額は最大400万円です。ただし、申請できる人には条件があり、募集が始まってから準備しても間に合わないことがあります。
ここでは、2026年9月8日時点の制度内容をもとに、対象経費や申請条件、募集時期を順番に見ていきましょう。
東京都の「創業助成事業」とは?
「創業助成事業」は、東京都と東京都中小企業振興公社が実施している、創業初期の経費を支援する制度です。
対象になるのは、東京都内で具体的に創業を計画している人や、創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす人です。
2026年度の主な内容は次のとおりです。
- 助成率:対象経費の3分の2以内
- 助成限度額:100万円~400万円
- 助成対象期間:交付決定日から6か月以上、最長2年間
上限400万円と聞くとかなり大きな制度に見えますが、どの経費でも自由に400万円まで使えるわけではありません。
事業費と人件費を対象とする部分は上限300万円、市場調査・分析費は上限100万円となっており、申請には事業費を含める必要があります。
家賃や広告費、器具・備品などが対象になる
2026年度の助成対象経費は、次のとおりです。
- 賃借料
- 広告費
- 器具備品購入費
- 産業財産権出願・導入費
- 専門家指導費
- 従業員人件費
- 市場調査・分析費
店舗を開業する場合なら、店舗や事務所の家賃、広告、一定の器具・備品などに使える可能性があります。
一方、店舗の内装・改装工事費そのものは、2026年度の創業助成事業の対象経費には含まれていません。
「創業向けの助成金なら内装工事にも使えるだろう」と思ってしまいそうですが、ここは注意したいところです。内装工事まで含めて制度を探している場合は、都内商店街での開業を対象とする「商店街起業・承継支援事業」など、別の制度も候補になります。
関連記事:店舗家賃に使える創業支援制度|世田谷区・杉並区・東京都の助成金
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創業予定なら誰でも申請できるわけではない
創業助成事業は、「東京都でこれから創業する」というだけで申請できる制度ではありません。
申請するには、申請要件1~4をすべて満たす必要があります。その中でも、これから申請を考えるときに特に重要なのが「申請要件2」です。
申請要件2では、東京都や区市町村などが実施する一定の創業支援を利用し、23ある要件のうちいずれか一つを満たす必要があります。
たとえば、
- TOKYO創業ステーションのプランコンサルティングで事業計画書策定支援を終了する
- 対象となる創業支援施設・インキュベーション施設を利用する
- 東京都の創業融資を利用する
- 区市町村の創業融資を利用する
- 認定特定創業支援等事業による支援を受ける
などがあります。
つまり、「特定創業支援等事業の証明書がないと申請できない」というわけではありません。特定創業支援等事業は、23あるルートのうちの一つです。
世田谷区・杉並区なら特定創業支援等事業も選択肢になる
世田谷区・杉並区でこれから創業する場合は、区が実施している「特定創業支援等事業」を利用して申請要件を満たす方法もあります。
特定創業支援等事業とは、創業に必要な「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」の4分野について、継続的な支援を受ける制度です。
所定の支援を受けて証明書を取得すると、創業助成事業の申請要件につながるだけでなく、会社設立時の登録免許税の軽減や、日本政策金融公庫の創業融資での金利優遇などにつながる場合もあります。
これから創業準備を始める段階なら、助成金だけを単独で考えるのではなく、こうした創業支援から利用しておくメリットは大きいと思います。
世田谷区「世田谷区の創業支援等事業について」
杉並区「創業支援等事業計画」
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2026年度第2回には今からでは間に合わないが・・・
2026年度の創業助成事業は、次の2回に分けて募集されています。
- 第1回:2026年4月7日10時~4月16日23時59分(受付終了)
- 第2回:2026年9月29日10時~10月8日23時59分
「第2回はまだ始まっていないなら、今から準備すれば間に合うのでは?」と思うかもしれません。
しかし、東京都中小企業振興公社は、先ほど説明した申請要件2を満たすまでに概ね3か月以上かかると案内しています。
そのため、2026年9月8日時点で、まだ対象となる創業支援を何も利用していない状態から準備を始めても、2026年度第2回には間に合いません。
一方、すでに指定された創業支援を利用して申請要件を満たしている場合は、第2回への申請を検討できます。
2026年度第2回の申請は電子申請システム「Jグランツ」のみで、利用にはGビズIDプライムが必要です。GビズIDプライムの発行には審査で1か月程度かかる場合があるため、申請要件を満たしていても、IDをまだ取得していない場合は早めに手続きしておく必要があります。
でも、今年度に間に合わないからといって、これから準備しても遅いわけではありません。
現時点では2027年度の実施は発表されていませんが、2017年度から2025年度までは毎年度、第1回・第2回の2回実施されており、2026年度も2回募集されています。
これまでの実績を見ると、2027年度も実施される可能性は高いと思います。
2027年度の募集情報が公開されたら、この記事にも最新の募集時期や条件を掲載しますね。
申請すればすぐに開業資金を受け取れるわけではない
創業助成事業を資金計画に組み込むときは、助成金が支払われるタイミングにも注意が必要です。
この制度は、採択された時点で助成金が振り込まれる仕組みではありません。
交付決定後に助成対象事業を実施し、経費を支払い、その後に実績報告や検査を経て助成金が支払われます。
そのため、家賃や広告費、器具・備品などを支払うためのお金は、基本的に先に準備しておく必要があります。
また、原則として、助成対象期間内に契約・実施・支払いを行った経費が対象です。ただし、賃借料や従業員人件費については、助成対象期間前に契約した内容でも対象になる場合があります。
「補助金が採択されたら、そのお金で開業しよう」という使い方ではなく、開業資金は自己資金や融資などで確保し、その一部を後から助成してもらう制度と考えた方が分かりやすいと思います。
関連記事:日本政策金融公庫の創業融資|新規開業・スタートアップ支援資金の基本
まとめ
東京都の創業助成事業では、家賃、広告費、器具・備品、人件費など、創業初期にかかる経費について最大400万円の助成を受けられる可能性があります。
一方、申請には一定の創業支援を利用するなどの要件があり、募集開始後に準備を始めても間に合わないことがあります。2026年度第2回に今から準備を始めても間に合いませんが、近年は毎年実施されています。
現時点では2027年度の実施はまだ発表されていません。これから創業するなら、来年度の募集も見据えて、申請要件につながる創業支援を早めに確認しておくとよいでしょう。
対象地域: 世田谷区・杉並区
情報確認日: 2026年9月8日
主な確認資料
- 東京都中小企業振興公社「創業助成事業」
- TOKYO創業ステーション「創業助成事業 申請要件2一覧」
- TOKYO創業ステーション「創業助成事業 過去の採択情報について」
- 東京都中小企業振興公社「助成金」
創業助成事業の実施有無、対象者、申請要件、対象経費、助成額、募集期間などは年度によって変更される場合があります。実際に申請を検討するときは、最新年度の公式情報を確認してください。
