東京都の商店街起業・承継支援事業|店舗開業で使える費用と条件

商店街でお店を開くなら最大694万円 のアイキャッチ

商店街でお店を開こうとしていると、「内装工事や設備、家賃に使える助成金はないかな?」と思いませんか?

東京都には、都内商店街で店舗を開業する人などを対象とした「商店街起業・承継支援事業」があります。

店舗の新装・改装工事費や設備・備品、広告費だけでなく、店舗家賃も最長3年間助成対象になるのが特徴です。

ただし、単に「商店街らしい場所に出店する」というだけでは利用できません。また、申請から交付決定までには数か月かかるため、開業時期との調整も必要です。

ここでは、2026年9月8日時点の制度内容をもとに、これから店舗を開業する場合に知っておきたいポイントを見ていきましょう。

目次

商店街起業・承継支援事業とは?

「商店街起業・承継支援事業」は、東京都と東京都中小企業振興公社が、都内商店街での開業や事業承継などを支援する制度です。

2026年度は、次のような取組が対象になっています。

  • 新しく店舗を開業する
  • 既存店舗とは異なる業種の店舗を開業する(多角化)
  • 都内商店街の店舗を事業承継し、店舗改装等を行う
  • 既存店舗と同じ業種の2店舗目を開業する
  • 商店街地域へ店舗を移転する

これから初めて店舗を開く場合も対象になります。

一方、この制度は単なる店舗開業補助ではありません。商店街に新しい店舗や担い手を呼び込み、地域や商店街の活性化につなげることが目的です。

そのため審査でも、店舗そのものの事業性だけでなく、商店街活動への参加や、周辺店舗との連携など、商店街にどう関わっていくかが見られます。

東京都中小企業振興公社「都内商店街での開業助成金」

内装工事・設備・広告・家賃が対象になる

店舗開業でこの制度が使いやすい理由の一つが、対象経費の広さです。

2026年度の「商店街起業・承継支援事業」では、主に次の経費が対象になります。

  • 店舗の新装・改装工事費
  • 設備・備品購入費
  • ホームページ制作費やチラシ作成費などの宣伝・広告費
  • 店舗賃借料

事業所整備費については、助成率3分の2以内、助成限度額は250万円です。

また、宣伝・広告費は事業所整備費に含まれますが、助成対象経費として認められる広告費には100万円の上限があります。

さらに店舗賃借料は、交付決定日から最長3年間、

  • 1年目:月額上限15万円
  • 2年目:月額上限12万円
  • 3年目:月額上限10万円

まで助成対象になります。

店舗賃借料の3年間の上限は444万円なので、事業所整備費と合わせると最大694万円です!

一方、東京都の「創業助成事業」では店舗の内装・改装工事そのものは対象経費に含まれていません。そのため、商店街で実店舗を開き、内装工事まで助成対象にしたい場合はこちらの制度の方が合う可能性があります。

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出店予定地が「対象となる商店街」にあることを確認する

「駅前の商店が並んでいる場所だから、商店街として申請できるだろう」と思ってしまいそうですが、自分で判断することはできません。

申請までの手続では、まず出店予定地を決めたうえで、その場所がどの商店街に属しているのかを市区町村へ確認します。

その後、商店街からも出店の確認を受ける必要があります。

つまり、

出店予定地を決める
→ 市区町村に商店街を確認する
→ 商店街から出店確認を受ける
→ 申請書類を準備する

という流れになります。

世田谷区・杉並区にも多くの商店街がありますが、出店予定地がこの制度上どの商店街に属するのかは、申請前に確認しておきましょう。

東京都中小企業振興公社「申請手続き・募集要項・申請書類」

商店街ならどんな業種でも対象になるわけではない

もう一つ確認しておきたいのが、開業する店舗の業種です。

2026年度は、小売業、不動産・物品賃貸業、宿泊・飲食サービス業、生活関連サービス・娯楽業などを中心に、公社が指定する業種が対象になっています。

店舗開業で身近なところでは、

  • 衣料品・食品・機械器具などの小売店
  • 飲食店
  • 持ち帰り・配達飲食サービス
  • 宿泊施設
  • クリーニング店
  • 理容室・美容室
  • 学習塾や教養・技能教授業
  • 施術業
  • 機械等修理業

などが対象に含まれます。

一方、同じ大分類に入っていても、すべての業種が対象になるわけではありません。対象かどうかは日本標準産業分類の「小分類」単位で決められているため、自分の店舗がどこに分類されるか確認する必要があります。

東京都中小企業振興公社「Q&A、お問合せフォーム」

また、申請時には店舗の事業内容だけでなく、経営者としての経験や資金計画、販売計画、立地と顧客の相性なども審査されます。

主な審査の視点は、

  • 店舗のコンセプトや商品・サービスが明確か
  • 立地が想定する顧客に合っているか
  • 事業に必要な経験やスキルがあるか
  • 資金調達・資金繰り・開業スケジュールに無理がないか
  • 売上や利益の計画に根拠があるか
  • 商店街の活性化にどう貢献するか
  • 商店街活動へ継続的に参加する意思があるか

などです。

つまり、対象業種というだけではなく、その場所で事業を続けられる計画になっているか、商店街の一員として活動できるかまで含めて審査される制度ということです。

東京都中小企業振興公社「本事業のポイント」

2026年度第3回は10月9日から申請できる

2026年度は3回の募集があり、第1回・第2回はすでに終了しています。

これから申請できる第3回は、

  • 申請期間:2026年10月9日~10月30日17時
  • 一次審査:2026年10月中旬~12月中旬
  • 一次審査結果:2026年12月下旬予定
  • 二次審査:2027年1月中旬~下旬
  • 交付決定:2027年3月1日予定

というスケジュールです。

ここで特に注意したいのが、店舗を実際にオープンできるのは交付決定後という点です。第3回なら、2027年3月1日より前に店舗で営業を始めると助成対象になりません。

ただし、交付決定まで何もできないわけではありません。

第3回の場合、店舗の賃貸借契約は2026年9月1日以降、店舗の新装・改装工事は一定の条件を満たせば2026年12月1日以降に契約・着工したものも助成対象になる特例があります。

そのため、

物件を決める
→ 助成金へ申請する
→ 審査中に条件を確認しながら物件契約や工事準備を進める
→ 交付決定
→ 店舗をオープンする
→ 実績報告・現地確認
→ 助成金を受け取る

という流れになります。

なお、交付決定前に行った工事の支払いなどには細かな条件があります。第3回を利用するなら、2027年3月まで開業を待てばよいというだけではなく、物件契約・工事契約・支払い・開業のそれぞれについて対象になる時期を確認しながら進める必要があります。

東京都中小企業振興公社「申請手続き・募集要項・申請書類」

申請時点で店舗の賃貸借契約は必要ない

ここは杉並区の家賃助成との違いが大きいところです。

商店街起業・承継支援事業では、申請時点で店舗の賃貸借契約を締結している必要はありません。

申請時には出店予定地を決め、所在地や家賃などが分かる資料を準備します。

むしろ、助成対象となる工事や購入などは、原則として助成対象期間内に、

発注・契約
→ 実施・購入
→ 納品
→ 支払い

まで行う必要があります。

そのため、「物件が決まったから工事契約も先に済ませてしまおう」と進めるのではなく、助成金を利用するなら対象期間との関係を確認してから契約することが重要です。

一方、物件そのものについては、助成金だけを見て決めるわけにはいきません。飲食店など許認可が必要な店舗なら、その物件で予定する営業ができるかも契約前に確認しておきましょう。

関連記事:店舗物件を契約する前に確認したい許認可|用途地域・建築・消防・営業許可のチェックポイント

助成金は開業前にもらえるわけではない

助成限度額が最大694万円と聞くと、「これを開業資金にできればかなり助かる」と感じると思います。

ただし、残念ながら、助成金は前払いではありません。

店舗を開業し、対象経費を支払った後、公社による現地調査や支払内容の確認などを経て助成金が支給されます。

つまり、内装工事費や設備購入費などは、いったん自分で支払う必要があります。

そのため、

自己資金
→ 日本政策金融公庫などの創業融資
→ 自治体の融資制度
→ 後から受け取る助成金

という形で、資金繰りを組み立てる必要があります。

最大694万円という金額だけを見るのではなく、助成金が振り込まれるまでの資金をどう準備するかまで考えて申請した方がよいと思います。

関連記事:日本政策金融公庫の創業融資|新規開業・スタートアップ支援資金の基本

女性・39歳以下の男性なら「若手・女性リーダー応援プログラム」も比較する

女性や一定年齢以下の男性が商店街で開業する場合は、「商店街起業・承継支援事業」だけで決める前に、「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」も確認しておきましょう。

2026年度の対象になるのは、女性または2027年3月31日時点で39歳以下の男性で、都内商店街で新規開業、2店舗目の開業、商店街地域への移転などを行う人です。

こちらは、

  • 助成率:4分の3以内
  • 事業所整備費の助成限度額:400万円
  • 店舗賃借料:最長3年間
  • 助成限度額合計:最大844万円

となっています。

通常の商店街起業・承継支援事業より助成率・上限額が大きいため、対象に当てはまるなら比較する価値はかなり大きいと思います。

なお、2つの制度は同時に募集されており、申請書類も共通です。

東京都中小企業振興公社「都内商店街での開業助成金」

申請にはGビズIDも早めに準備する

申請は原則として電子申請システム「Jグランツ」で行います。

Jグランツを利用するにはGビズIDプライムが必要で、公社は発行に2~3週間かかると案内しています。

2026年度第3回の締切は10月30日17時なので、電子申請するなら申請書を書き始める前にGビズIDの有無も確認しておきましょう。

また、申請前には出店予定地の確認、商店街からの出店確認、工事見積書や図面の準備、設備・備品の選定なども必要になります。

第3回に申請するつもりなら、「10月9日になってから準備を始める」のでは遅いと思います。出店予定地が決まっているなら、今の段階から準備を進めておいた方がよいでしょう。

東京都中小企業振興公社「申請手続き・募集要項・申請書類」

まとめ

東京都の「商店街起業・承継支援事業」は、都内商店街で店舗を開業する場合に、内装・改装工事、設備・備品、広告、店舗家賃などを幅広く助成する制度です。

特に、創業助成事業では対象にならない店舗工事費も対象になるため、商店街で実店舗を開くなら確認しておきたい制度だと思います。

一方、申請には出店予定地を決め、商店街の確認を受ける必要があり、審査にも数か月かかります。2026年度第3回へ申請する場合の交付決定は2027年3月1日の予定なので、開業時期もそこから逆算して考えましょう。

また、女性または39歳以下の男性なら、助成率・上限額がさらに大きい「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」も比較してみてください。


対象地域: 世田谷区・杉並区
情報確認日: 2026年9月8日

主な確認資料

対象者、対象業種、助成対象経費、助成額、募集期間などは年度によって変更される場合があります。実際に申請を検討するときは、申請年度の制度内容を確認してください。

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