店舗物件の確認済証・検査済証とは?契約前に確認したい建築書類

店舗物件の確認済証・検査済証 のアイキャッチ

店舗物件を借りるとき、確認済証や検査済証まで確認するケースはそれほど多くないかもしれません。

ただし、既存の建物を別の用途で使う場合や、大きな改修を予定している場合など、建物がこれまでどのような計画で建築され、完了検査を受けているかを確認する必要が出てくることがあります。

そのときに手がかりになるのが、「確認済証」「検査済証」や建築計画概要書などの建築関係書類です。

たとえば、事務所として使われていた物件を飲食店に変更する場合、用途変更について確認する中で、現在の建物がどのような用途・計画で建築確認を受けているのかを調べる必要が生じることがあります。

関連記事:店舗の用途変更とは?確認申請が必要になる場合と200㎡の基準

確認済証や検査済証が必要になるのはどのような場合なのか、書類が見つからないときはどう調べればよいのかを整理します。

目次

確認済証・検査済証はどんなときに確認する?

確認済証や検査済証は、飲食店営業許可のように「店舗を開業する人が申請時に必ず提出する書類」ではありません。

主に、既存建物について建築上の確認が必要になったときに、その建物の履歴を調べるための資料になります。

たとえば、次のような場合です。

  • 事務所だった区画を飲食店など別の用途で使いたい
  • 現在の建物用途が分からず、用途変更について確認したい
  • 増築・改築を予定している
  • 壁や階段などに関係する大きな改修を予定している
  • 建築士や確認検査機関から、既存建物の建築確認・完了検査の記録を確認するよう求められた

国土交通省が公表している「既存建築物の現況調査ガイドライン」でも、既存建物について増改築、大規模の修繕・模様替え、用途変更などを行う際に、既存建物の状況を調査する方法が示されています。

国土交通省「既存建築物の活用の促進について」

つまり、確認済証や検査済証は「店舗営業の許可証」ではなく、これから既存建物を別の用途で使ったり改修したりするときに、現在の建物について確認するための資料と考えると分かりやすいでしょう。

関連記事:店舗の用途変更とは?確認申請が必要になる場合と200㎡の基準

確認済証と検査済証は何が違う?

確認済証と検査済証は、どちらも建築基準法に基づく手続に関係する書類ですが、交付されるタイミングが異なります。

書類何を確認した書類?
確認済証工事前に、建築計画が建築基準関係規定に適合していることについて確認を受けた際に交付される
検査済証工事完了後に完了検査を受け、建築物が建築基準関係規定に適合していると認められた際に交付される

建物を建築するときは、必要な建築確認を受けて確認済証が交付された後に工事へ進み、工事完了後には完了検査を受けます。完了検査で適合していると認められると、検査済証が交付されます。

そのため、

「確認済証がある」
と
「検査済証まで交付されている」

は同じ意味ではありません。

店舗物件でこれらを確認する目的は、単に書類があるかどうかを見ることではなく、その建物がどのような建築確認・検査を経ているのかを把握することにあります。

確認済証があると現在の店舗用途まで分かる?

確認済証そのものだけで、現在の建物の状況がすべて分かるわけではありません。

建築確認を受けたときの計画は、確認申請書や建築計画概要書などの資料から確認します。

たとえば建築計画概要書には、建築場所、用途、敷地面積、建築面積、延べ面積、構造、階数など、確認申請時の建築計画の概要が記載されています。

そのため、

「この建物はもともと何の用途として確認を受けているのか」
「どのくらいの規模の建物として確認されているのか」

などを調べる材料になります。

ただし、建築確認を受けた後に増改築や用途変更などが行われていることもあります。

古い確認済証や建築計画概要書が見つかったとしても、その内容と現在の建物が完全に一致しているとは限らないため、必要に応じてその後の建築履歴も確認します。

検査済証が重要になるのはなぜ?

確認済証は、工事を始める前の「建築計画」について確認を受けたことを示すものです。

それに対して検査済証は、工事完了後に完了検査を受けたことを確認する資料になります。

既存建物を増改築したり、大規模な改修を行ったりする場合には、既存部分が建築基準法令に適合しているかを確認する必要が生じることがあります。

その際、過去に検査済証が交付されているかどうかが、既存建物の状況を調べるための重要な手がかりになります。

一方、検査済証が確認できない場合でも、それだけで直ちに「違法な建物」と判断することはできません。

国土交通省は、既存建物の増築等を行う場合などに、建築士が既存部分の現況や建築基準法令への適合状況を調査するための方法を案内しています。

国土交通省「既存建築物の活用の促進について」

まずは貸主・管理会社に建築書類が残っていないか確認する

用途変更や大きな改修などで既存建物の確認が必要になった場合は、まず貸主や管理会社に建築関係の資料が残っていないか確認します。

たとえば、

  • 確認済証
  • 検査済証
  • 確認申請書
  • 建築図面
  • 過去の用途変更に関する資料
  • 増改築・改修時の資料

などです。

確認済証・検査済証だけでなく、当時の確認申請書や図面が残っていれば、その後の建築上の確認に役立つ場合があります。

用途変更や大きな改修を予定している物件では、契約後に初めて資料を探し始めるのではなく、物件を検討する段階で貸主や管理会社に確認しておくとよいでしょう。

確認済証・検査済証が見つからないときはどうする?

建物が古かったり、所有者が変わったりしていると、確認済証や検査済証の原本が手元に残っていない場合があります。

その場合でも、行政に残っている記録から建築確認や完了検査の履歴を確認できることがあります。

主に利用するのが、

  • 建築計画概要書
  • 建築確認台帳の記録
  • 台帳記載事項証明書

などです。

東京都では、確認済証や検査済証を紛失している場合、現存する台帳に記載されている交付年月日・番号などについて、台帳記載事項証明書を発行しています。

東京都都市整備局「台帳記載事項証明書の発行」

ただし、台帳記載事項証明書は、紛失した確認済証・検査済証そのものを再発行する制度ではありません。

また、建物の年代や検査状況によっては台帳に記録が残っていない場合もあります。

建築計画概要書では何を確認できる?

建築計画概要書は、建築確認申請の際に作成される、建築計画の概要を記載した書類です。

主に、

  • 建築場所
  • 建物用途
  • 敷地面積
  • 建築面積
  • 延べ面積
  • 構造
  • 高さ
  • 階数
  • 建築主や設計者など

を確認できます。

平面図など確認申請時の詳しい設計図書がすべて掲載されているわけではありませんが、店舗物件の建築履歴を調べる入口として利用できます。

世田谷・杉並でも建築計画概要書・台帳を確認できる

世田谷区・杉並区とも、区が保管している建築計画概要書を閲覧でき、建築確認台帳に記録がある物件について証明書を取得できる制度があります。

両区で基本的な確認方法は共通していますが、保管されている資料の年代などには違いがあります。

世田谷区では、建築計画概要書を概ね昭和54年度以降の建築確認申請分から保管しており、台帳では昭和30年以降の建築確認を検索できます。

世田谷区「建築計画概要書等の閲覧・台帳証明の発行について」

杉並区では、建築計画概要書は原則として平成11年度以降の確認申請分が閲覧対象です。昭和45年度から平成11年度までのものについても、保管されている場合は閲覧できます。

杉並区「建築計画概要書等の閲覧」

建築確認台帳に記録がある物件については、建築確認台帳記載事項証明書を取得できます。

杉並区「建築確認台帳記載事項証明書」

東京都が建築確認を行った物件など、区では資料を保管していないものについては、東京都側で確認が必要になる場合があります。

検査済証の交付が確認できなかったら?

貸主の手元に検査済証がなく、行政の台帳からも検査済証の交付を確認できない場合があります。

この場合も、それだけで店舗物件として使用できないと決まるわけではありません。

ただし、用途変更や増改築、大規模な修繕・模様替えなどを予定している場合には、既存建物の建築基準法令への適合状況を別の方法で確認する必要が生じることがあります。

国土交通省は、既存建物について建築士が現況や建築基準法令への適合状況を調査するためのガイドラインを公表しています。

国土交通省「既存建築物の活用の促進について」

検査済証の有無だけで自分で判断するのではなく、用途変更や大きな改修を予定している物件で建築履歴が十分に確認できない場合は、契約前に建築士などへ確認しておくとよいでしょう。

確認済証・検査済証があれば営業できるわけではない

確認済証や検査済証を確認できたとしても、それだけで予定する店舗営業ができると決まるわけではありません。

これらは建築確認・完了検査に関する資料です。

店舗開業では、別に、

  • 用途地域
  • 現在の建物用途と予定用途
  • 用途変更の要否
  • 業種ごとの営業許可
  • 消防関係
  • 営業場所に関する規制

などを確認する必要があります。

関連記事:店舗物件を契約する前に確認したい許認可|用途地域・建築・消防・営業許可のチェックポイント
関連記事:店舗物件の用途地域|予定する営業ができるか確認する方法【世田谷・杉並】

確認済証・検査済証は、店舗物件を借りる際にいつも確認する書類ではありません。

ただし、用途変更や増改築、大きな改修などで既存建物の建築履歴を確認する必要が出てきたときには、重要な手がかりになります。

必要になった場合は、まず貸主や管理会社に建築関係書類が残っていないか確認し、見つからなければ建築計画概要書や台帳の記録を調べます。建物の状況まで判断する必要がある場合は、建築士などへ確認したうえで契約・改修を進めましょう。


対象地域
東京都世田谷区・杉並区を中心に解説しています。

情報確認日
2026年9月4日

主な確認資料

建築計画概要書や台帳に残っている情報は、建物の年代や建築確認を行った行政庁・指定確認検査機関などによって異なります。用途変更や改修などで既存建物の状況を確認する必要がある場合は、最新の記録を確認し、必要に応じて建築士や所管窓口等へ確認してください。

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