深夜0時以降にお酒を出すバーや居酒屋を開業するとき、「届出が必要なのは分かったけれど、結局何を準備すればいいの?」と悩みますよね。
深夜酒類提供飲食店営業の届出は、全国共通の風営法に基づく手続です。東京都内で届け出る場合も制度の基本は同じで、営業開始届出書だけでなく、営業の方法を記載した書類や営業所の平面図、住民票などをそろえ、深夜営業を始める日の10日前までに提出します。
特に迷いやすいのが平面図です。警視庁は添付書類として「営業所の平面図」を求めていますが、店舗の測量や床面積の計算、設備の整理まで必要になるため、単に間取りを書き写すだけでは済まないことがあります。
自分の店がそもそも届出対象かどうかを確認したい場合は、先に下記の基本記事から確認しておきましょう。
関連記事:深夜0時以降にお酒を出すには届出が必要?深夜酒類提供飲食店営業の基本
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深夜酒類提供飲食店営業の届出で準備する主な書類

深夜酒類提供飲食店営業の届出では、警視庁が次の書類を案内しています。
- 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
- 営業の方法を記載した書類
- 営業所の平面図
- 住民票
- 法人の場合は、定款・法人登記事項証明書・役員全員の住民票
個人で開業するか、法人で開業するかによって必要書類の一部が変わりますが、基本となるのは、届出書・営業方法の書類・平面図です。
東京都内では、営業所の所在地を管轄する警察署長を経由して東京都公安委員会へ届け出ます。世田谷区や杉並区でも、店舗所在地によって管轄警察署が変わるため、提出先は早めに確認しておきましょう。
参考:警視庁「性風俗関連特殊営業、深夜における酒類提供飲食店営業の届出」
営業開始届出書には構造・設備まで記載
深夜酒類提供飲食店営業を始めるときは、営業開始届出書を提出します。
この届出書には、営業者の氏名・住所、営業所の名称・所在地といった基本情報だけでなく、営業所の構造や設備の概要も記載します。
警視庁の記載例では、主に次のような項目があります。
- 建物の構造と、建物内のどの階・部分を営業所として使うか
- 客室数、営業所の床面積、客室の総床面積、各客室の床面積
- 照明設備の種類・仕様・基数・設置位置など
- 音響設備の種類・仕様・台数・設置位置など
- 防音設備の種類・仕様など
- 出入口の数、間仕切り、装飾その他の設備の概要
そのため、営業開始届出書と平面図は別々に考えるのではなく、同じ店舗を同じ内容で説明できているかを確認しながら準備するのがポイントです。
たとえば、届出書に記載した客室数や床面積と図面上の区画が合っているか、照明・音響設備の内容が実際の店舗計画と食い違っていないかを確認しておきましょう。
参考:警視庁「深夜における酒類提供飲食店営業(様式一覧)」
掲載資料:深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書・記載例(別記様式第47号)
「営業の方法」には深夜の営業内容を具体的に記載
深夜酒類提供飲食店営業の届出では、「営業の方法」を記載した書類も必要です。
警視庁の様式では、営業時間のほか、18歳未満の者を従業者として使用するか、18歳未満の者を客として立ち入らせるか、飲食物や酒類をどのように提供するかなどを記載します。
主な確認項目は、
- 営業時間
- 18歳未満の者を従業者として使用するか、その場合の業務内容
- 18歳未満の者を客として立ち入らせるか、その防止方法
- 酒類以外の飲食物の種類・提供方法
- 酒類の種類・提供方法
- 20歳未満の者への酒類提供を防止する方法
- 客に遊興をさせる場合の内容・時間帯
- 同じ営業所で他の営業を兼業するか
などです。
この書類が重要なのは、自分では深夜酒類の届出だと思っていても、実際の営業内容によっては別の制度を検討する必要があるからです。
特に、
- 客に「接待」をする予定がある
- 深夜に客へ遊興をさせる予定がある
- 営業の常態として通常主食を提供するかがあいまい
といった場合は、届出書を作る前に営業内容そのものを整理しておく必要があります。
関連記事:深夜酒類提供飲食店営業と風俗営業1号許可の違い|届出・許可の判断ポイント
関連記事:風営法の「接待」とは?バー・スナックで風俗営業許可が必要になるケース
参考:警視庁「深夜における酒類提供飲食店営業(様式一覧)掲載資料:「営業の方法」・記載例(別記様式第48号)」
平面図の作成は、想像以上に専門的な作業
深夜酒類提供飲食店営業の届出では、添付書類として営業所の平面図が必要です。
ただし、ここでいう平面図は、店舗のおおまかな間取りが分かればよいというものではありません。営業開始届出書には営業所や客室の床面積、照明・音響・防音設備などを記載するため、図面側でも実際の店舗と届出内容が矛盾しないように準備する必要があります。
警視庁は「営業所の平面図」を必要書類として案内していますが、東京都向けの平面図について専用の様式や詳細な記載例は公開していません。そのため、実際にどこまでの図面・記載を準備するかは、店舗の構造や管轄警察署での確認も踏まえて整理することになります。
まず店舗を測り、客室や設備の位置を整理
図面を作る前には、店舗の形や寸法を把握する必要があります。
客室、厨房、トイレ、出入口、カウンター、テーブルや椅子、棚などの位置を確認し、どこからどこまでを客室として扱うのか、床面積をどのように計算するのかを整理していきます。
深夜における飲食店営業には、
- 客室が複数ある場合、原則として1室9.5㎡以上
- 客室内部に見通しを妨げる設備を設けない
- 客室の出入口に原則として施錠設備を設けない
- 営業所内の照度が20ルクス以下にならないようにする
といった構造・設備基準もあるため、図面作成と店舗レイアウトの確認は切り離せません。
平面図だけでなく、求積や設備を整理する作業もある
実務上は、営業所や客室の面積を計算するための求積図、厨房などの区画を整理する図、照明・音響設備の配置を示す図面などを分けて作成する例もあります。
一方、警視庁の公式案内で添付書類として明記されているのは「営業所の平面図」であり、平面図について一律の図面枚数や専用様式までは示されていません。
そのため、インターネット上の作成例をそのまま必須書類だと考えるのではなく、自分の店舗で必要になる図面・記載内容を管轄警察署の案内等と照らして確認することが大切です。
図面はCADで作成すると修正しやすい
図面を手書きで作成することもできますが、寸法や設備配置の修正が出た場合は書き直しが必要になります。
そのため、実務ではCADソフトを使って図面を作成する方法があります。無料で利用できるCADもあり、線や寸法を修正しやすく、同じ店舗図面をもとに必要な図を作り分けやすいのがメリットです。
ただし、CADを使えば簡単に作れるというわけではありません。CADで線を引く前に、店舗を測り、客室の範囲を整理し、床面積を計算し、設備の位置や構造基準まで確認する必要があります。
図面作成に慣れていない場合は、この部分が届出準備の中でも特に時間のかかる作業になりやすいでしょう。
住民票や法人書類も忘れずにそろえる
営業方法や図面に気を取られると、本人確認・法人確認の書類を後回しにしがちです。
個人で届出をする場合は、本籍が記載された住民票が必要です。外国人の場合は、国籍が記載された住民票を準備します。
法人で届出をする場合は、定款、法人登記事項証明書に加えて、役員全員の住民票が必要です。役員の住民票についても、個人の場合と同じく本籍記載のもの、外国人は国籍記載のものとされています。
このあたりは書類の取得に時間がかかることがあります。とくに法人の場合は代表者だけではなく役員全員分の準備が必要になるため、ぎりぎりまで待たずに動いた方が安心です。
提出期限は「深夜営業開始の10日前まで」
深夜酒類提供飲食店営業の届出は、風営法施行規則により、深夜における酒類提供飲食店営業を開始しようとする日の10日前までに提出しなければなりません。
ここで注意したいのは、「開業日」全体ではなく、深夜酒類提供飲食店営業を開始しようとする日が基準になることです。たとえば、先に通常の飲食店営業を始めて、後から深夜営業へ広げる場合でも、深夜酒類の営業開始日に合わせて期限を考える必要があります。
図面や添付書類の準備には時間がかかることがあります。提出期限ぎりぎりに動くと、記載内容の見直しや不足書類への対応が難しくなるため、10日前を「準備を始める日」ではなく、届出を済ませておく期限として考えましょう。
参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」
書類の準備だけでなく、物件や用途地域の確認も必要
必要書類がそろっていても、その店舗で深夜営業できるとは限りません。
東京都では、条例上の「住居集合地域」では、午前0時から午前6時まで酒類提供飲食店営業を営むことが禁止されています。そのため、届出書や図面を作り込む前に、その物件で予定している深夜営業ができる場所なのかを確認しておく必要があります。
また、構造・設備面の基準に合わないレイアウトだと、書類だけ整えても実際の営業に支障が出ます。物件探しや内装設計の段階から確認しておく方が、結果的にスムーズです。

関連記事:深夜営業・風俗営業を予定している店舗の物件選び|立地制限を契約前に確認
関連記事:店舗物件の用途地域|世田谷区や杉並区で予定する営業ができるか確認する方法
参考:東京都例規集「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」
参考:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」
図面作成が難しければ行政書士へ依頼する方法も
深夜酒類提供飲食店営業の届出は、決められた様式を埋めるだけで終わる手続ではありません。
特に、
- 自分の店が深夜酒類の届出対象かどうか判断しにくい
- 接待や遊興に当たる営業がないか確認したい
- 店舗の測量や床面積の計算に自信がない
- CADを使った図面作成が難しい
- 居抜き物件で既存図面と実際の店舗が一致しているか分からない
- 開業予定日まで時間があまりない
といった場合は、許認可の専門家である行政書士へ届出手続を依頼する方法があります。
深夜酒類提供飲食店営業などを取り扱っている行政書士であれば、通常、営業内容の整理、必要書類の作成、図面の準備、提出手続までまとめて依頼できます。
必要な図面や記載内容を自分で一から判断し、測量やCAD操作まで覚えて作成するのが負担に感じるなら、最初から届出手続全体を依頼した方が開業準備に集中しやすいですよ!
まとめ
深夜酒類提供飲食店営業の届出では、営業開始届出書、営業の方法を記載した書類、営業所の平面図、住民票などを準備します。法人の場合は、定款や登記事項証明書、役員全員の住民票も必要です。
特に図面は、単に店舗の間取りを書くだけではなく、店舗の測量、客室範囲や床面積の整理、設備の確認などが必要になります。手書きでも作成できますが、修正や図面の作り分けを考えるとCADを利用する方法もあります。
提出期限は深夜営業を開始しようとする日の10日前までです。書類だけを見るのではなく、営業内容・物件・構造設備・図面まで含めて早めに準備することが大切です。
対象地域:世田谷区・杉並区を中心とする東京都内
情報確認日:2026年9月13日
主な確認資料
- 警視庁「性風俗関連特殊営業、深夜における酒類提供飲食店営業の届出」
- 警視庁「深夜における酒類提供飲食店営業(様式一覧)」
- e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」
- e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」
- 東京都例規集「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」
制度や届出の取扱いは、法改正や運用変更によって変わる場合があります。実際に手続きを進める際は、最新の法令や所管機関の案内を確認してください。
